おはようございます。北九州の外装リフォーム専門店(外壁塗装・断熱塗装・屋根工事・防水工事・雨漏り)『(株)匠エージェント』の店長 梶川です。
本日は、外壁塗装の下塗りのお話です。お付き合いください。
下塗りとは何か?
下塗りは外壁塗装の基本となる、最も重要な工程です。下塗りには中塗り・上塗りとまったく機能も成分も違う塗料を使用します。また、下塗りには次のような役割があります。
・外壁材と塗料との接着力を高める
下塗りはサイディングボード、コンクリート、モルタルなどの外壁材と中塗り・上塗り塗料との接着力を強め、耐久性(防水性と耐候性)に優れた外壁塗膜を作り出すのが目的です。「下地強化剤」とも言われ、下塗り工程を経ないと外壁材に中塗り・上塗り塗料が定着しません。
・外壁材への塗料染み込みを防ぐ
下塗りをしないで中塗り・上塗りをすると、外壁材を直接塗装することになります。すると、塗料の気泡、その他の要因により外壁材を逆に傷める可能性があります。また、表面をきれいに塗装しても、塗料が外壁材に染み込むため、時間が経過すると塗りムラが発生し、美観に優れた外壁塗装にはなりません。外壁材と塗料との接着力も弱く、結果的に外壁の耐久性も損なうでしょう。
・機能を付加する
下塗り塗料の役割の3つ目は、様々な下地の素材や状態に合わせ、各種下地にとって必要な特有の機能を付加する役割です。ですから下塗りの種類によっては、錆止め効果があるもの、ヘアクラックと言われる0.3mm以下の微細なひび割れを埋める事ができる下塗り材もあり、下地の種類や劣化状況‥によって各種下塗り塗料を使い分けをします。
外壁塗装の下塗りには、この様に様々な役割があって下塗りの選定を誤ると、上塗り塗料本来の性能を十分に発揮できないばかりか、塗膜のひび割れや剥がれ、色ムラ‥様々な不具合が発生する原因になります。
中塗りと上塗り
中塗りは、上塗りのための平滑な塗膜を作るための塗装です。下塗り塗料の色を隠すとともに、下塗り塗料と上塗り塗料との密着性を高める効果があります。上塗りは原則として中塗りと同じ塗料を使います。
塗料は液体なので、塗料が乾燥すると液体中の気体分散により気泡が発生します。これが塗りムラの主な原因になります。上塗りは、中塗りの塗りムラを塞いで塗膜に厚みを付け、仕上がりのきれいな外壁塗装を実現するとともに、外壁の耐久性と美観を高めます。
下塗り塗料の種類
外壁塗装の主な下塗り塗料は「シーラー」、「プライマー」、「フィラー」の3種類です。それぞれの違いは次の通りです。
シーラー
シーラーは大きく3種類に分類できます。
合成樹脂エマルション型シーラー
最も広く普及しているのが「合成樹脂エマルション型シーラー」です。合成樹脂エマルション型シーラーは水系シーラーですので、こちらを下塗り材に使ったときは同じ水性系統の合成樹脂エマルション塗料を上塗りするのが理想的です。
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
樹脂に塩化ゴムや塩素化ポリプロピレンが含まれている、溶剤シーラー(油性シーラー)です。前述の合成樹脂シーラーが水系なのに対し、熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーは溶剤、つまり油性タイプです。水系の合成樹脂エマルション型シーラーに比べると密着性はやや高くなります。なお、溶剤型シーラーを地用したときの上塗りの塗料は溶剤系塗料を用いるのが理想的です。
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーは、代表的なものに塩化ビニル樹脂系シーラーがあげられます。樹脂には耐アルカリ性に優れた塩化ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム(天然ゴムを塩素化したもの)などを用いています。
溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー(反応硬化型シーラー)
「溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー」は基材および硬化剤で構成されるシーラーです。浸透性が高いため下地内部に吸収されやすくなりますが、下地を補強する目的で使われることがあります。溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーには、2液型のエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が用いられています。
塗料が外壁にしみこんでしまって表面に定着しない事を、外壁塗装では「吸い込む」と表現します。通常のシーラーを使うと吸い込まれてしまうような外壁では、「浸透性シーラー」という下地強化塗料が使われます。浸透性シーラーは、しっかりと壁の内部まで行き届いて壁自体の強度を高めることができるシーラーです。
吸収性が高い外壁の具体的な例を挙げると、ケイ酸カルシウム板、PC板(プレストレスト・コンクリート)、ALC板(軽量気泡コンクリート)、GRC板(ガラス繊維強化セメント)、押し出し成形セメント板、窯業系サイディングボード、かなり古くなったコンクリート壁、モルタル壁などがあります。
2液型溶剤タイプの浸透性シーラーの方がより下塗り塗料として優れていますが、改良された浸透性シーラーも登場しています。その結果、2液型に比べるとやや耐久性が劣る1液型弱溶剤タイプでも下地材として遜色なく使用できるようになりました。
溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーについては、2液の混合比・混合後の可使時間を守ること、また塗装後の乾燥時間経過後、決められた時間内に上塗りする必要があります(長期間放置すると塗料の密着性が落ちるため)。
プライマー
機能はシーラーと基本的に同じです。外壁材が鉄、ステンレス、アルミなど金属系サイディングボードやパネルの場合に使用します。プライマーには外壁材のサビ落とし機能はないので、下塗りをする前に外壁材に発生したサビをサンドペーパーなどで除去しておく必要があります。
フィラー
フィラーはシーラーやプライマーにパテ機能を追加した下塗り塗料です。外壁にシミ、ひび割れ、凹凸などができていて、中塗り・上塗りが困難な外壁の場合、外壁材の表面を平滑化する下塗りとして使用します。機能はシーラーと基本的に変わりません。
下塗り作業前のチェックポイント
下塗りは仕上げの塗料性能をより高めるために行われる大切な工程ですが、外壁そのものの状態が万全でなければいくら下塗りをしても意味がありません。塗装の手抜きを防ぐためにも、下塗り作業前のチェックすべきポイントを押さえておきましょう。
1. 高圧洗浄で下地の汚れを除去すること
外壁塗装では、強力な業務用の高圧洗浄機で外壁を洗浄する作業が必ず行われます。どの外壁も、塗装が必要な時期に差し掛かっていれば当然、長年の汚れが蓄積しており、汚れやカビがこびりついて通常の水洗いでは取れなくなっていることもあります。
この汚れやカビを無視したまま外壁塗装をしてしまうと、塗装の耐久年数は著しく落ちてしまいます。外壁・屋根下地に異物が残ったまま高級塗料で塗装しても、下塗り・上塗り塗料が外壁に密着できず剥がれや膨れなどの施工不良を引き起こします。あるいは、養生をする時のテープも汚れで剥がれやすくなり作業効率自体も低下してしまうでしょう。
業者から外壁塗装の工程表をもらったときは、下地調整の前に必ず高圧洗浄が予定されていることを確認し、作業後は1~3日の乾燥期間が設けられていることも忘れずにチェックしておきましょう。
2.下地処理に時間をかけていること
外壁には経年劣化でヒビや亀裂ができていることがありますが、これらを残したまま塗装をしても亀裂は消えません。亀裂が残ったまま塗装された外壁は、塗料がそこだけ浮いてしまい剥がれなどの施工不良を引き起こすほか、雨水が外壁材の内部に浸水する可能性も高くなります。建物の防水性・防カビ性を高めるという点でも、下地処理は特に重要な工程です。
●鉄部のケレン作業も行われていること
金属サイディングや金属製エクステリア部材が使われている場合は、「ケレン作業」が作業内容に含まれていることも確認しておきましょう。ケレン作業とは、鉄部の錆びを落とす作業のことです。専用のヤスリや金属製のブラシなどを使って、鉄製の外壁や付帯部の表面に発生したサビをしっかり除去しておくことにより塗装と外装の耐久性を高めます。
なお、外壁塗装では窓枠や雨樋などの付帯部分の補修および塗装も重要です。軒天部分もしっかりと塗装することが望ましいため、見積書では付帯部も下地処理が丁寧に行われたうえで塗装されているかチェックしておきましょう。
●コーキングの補修も行われていること
サイディング外壁にはボード同士を繋ぐ目地にコーキング(シーリング)という部材が充填されています。この部分は耐候性が低いため紫外線で劣化しやすく、外壁よりも先に劣化していることがあります。コーキングが劣化すると裂けたり縮んだりして隙間から雨水が入り込んでしまいますので、劣化を放置したまま下塗りをしても塗装はおろか外壁の耐久性も高めることがはできません。コーキング補修は下地調整の際に行われますので、古いコーキング材を剥がして新しく充填する「打ち替え工事」が行われることを見積もりから確認しておきましょう。
おわりに
塗装における下塗りは、塗料の効果を高めて外壁の耐久性を長持ちさせるためにも欠かせない工程です。業者に見積書を作ってもらうときは、下塗り塗料のメーカー名や塗料名までしっかり書いてもらい、確実に下塗りが行われていることを確認しましょう。
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