断熱・遮熱塗料は効果があるのか?効果を徹底解説


はじめに


断熱塗料とは、熱伝導を抑える効果(断熱効果)のある塗料です。室外と室内の熱移動を抑制するため、夏場は室内を外気温より涼しく、冬場は室内を外気温より暖かく保つために役立ちます。断熱塗料は、比較されがちな「遮熱塗料」よりも高価な傾向にありますが、遮熱塗料にはない断熱効果があることから、施工対象によっては投資対効果の高い塗料になり得ます。一般的に販売されている機能性のない塗料と比較すると、断熱塗料は高価な傾向にあります。安価な塗料より耐久性に優れているとはいえ、費用対効果を考慮せずに施工すれば、かけたコストに対する満足度が低くなる可能性があります。


ただし、外壁塗装にかかる費用の内訳は、塗料の種類だけではなく塗布面積・建物の状態によって変わり、さらに人件費や足場代が発生するため一概に「断熱塗料だから高額になる」とはいえません。大切なのは予算に収めつつ要望を叶えることであるため、塗装工事に求める諸条件を決めてから、まずは見積もりをとることを推奨します。


断熱塗料と遮熱塗料は、どちらも太陽光線の反射性能を備えているため、夏場に室内の温度を快適に保ちやすい点では共通しています。ただし、以下の点で断熱塗料と遮熱塗料には違いがあります。


断熱塗料:太陽光を反射し、熱の吸収を防いだうえで、室外と室内の熱移動を抑制する


遮熱塗料: 太陽光を反射し、熱の吸収を防ぐことに特化している

断熱塗料は太陽光による熱の吸収を防ぐと同時に、室内の熱が室外に放出されることも抑制します。一方、遮熱塗料は太陽光による熱の吸収は防ぎますが、室内の熱を保つ効果は期待できません。


断熱塗料は夏場と冬場に効果を発揮し、遮熱塗料は主に夏場に効果を発揮する塗料だといった区別ができます。


断熱塗料は効果があるのか?



断熱塗料を使うことにより得られる共通の効果は、主に以下の4つです。


  1. 室内を快適な温度に保つ
  2. 節電効果を発揮する
  3. 防音効果が高まる
  4. 結露防止が期待できる


それぞれ、どのような効果を得られるのか解説します。


1室内を快適な温度に保つ


断熱塗料は熱伝導を抑えるほか、太陽光線の反射性能(遮熱性能)も備わっており、気温が高くなる夏場には室内を快適な温度に保つ効果(遮熱効果)があります。また、室内と室外の熱移動を抑制する特性により、冷暖房設備の効果を高められるため、夏場には涼しく、室内に熱源がある冬場※には部屋を暖かく快適な温度に保ちます。


※冬場に太陽光のみで室内を暖めようとする場合、断熱塗料が有する遮熱性能によって無塗装屋根と比較すると室内温度は低くなってしまいます。


2節電効果を発揮する


断熱塗料により得られる副次効果として、節電効果が期待できます。前述したように、断熱塗料による太陽光の反射および熱伝導の抑制は夏場の暑さによる室温上昇を抑え、暖房器具等を室内に設置する冬場は室温低下を防ぎます。結果として、冷暖房設備の稼働を最小限にできるため、消費電力は減り節電効果が期待できるのです。


3防音効果が高まる


セラミックスを配合したは、一般的に販売されている機能性のない塗料と比較して塗布部分の表面は厚くなる傾向にあります。音は空気の振動により伝わるため、断熱塗料を塗布して特定の箇所に厚みを持たせることで、防音効果を高めることが可能です。たとえば、屋根部分に断熱塗料を塗布すると、屋根をうつ雨音が室内に届くことを防止できます。


4結露防止が期待できる


壁面についた水滴は、放置するとカビを発生させる原因となるため、結露はとくに衛生の観点から防止したい現象です。結露の原因は、外気により冷えた壁面と室温の温度差であるため、断熱塗料の塗布により壁面と室温の差を小さくすると結露の防止が期待できます。なお、結露により発生するカビは健康に悪影響を及ぼすだけでなく、建物にも被害を与える可能性があります。


たとえば木造建築物の場合、結露により壁や柱部分が水を含んでいる状態が長時間続けば、腐敗して強度が低下するのです。断熱塗料を内外装へ使用することで、内部結露と呼ばれる目に見えない場所に生じる結露も防止できるため、結露による人体や建物への被害を抑えたいときに断熱塗料は効果を発揮します。


また、断熱塗料で得られる効果は断熱効果にとどまらず、節電効果や防音効果など多岐にわたります。住宅やオフィス、工場の快適性を高めるための手段として有効に働くでしょう


遮熱塗料は効果があるのか?



遮熱塗料とは、太陽光を反射する効果のある塗料のことです。太外壁や屋根の温度は、室内温度の上昇に大きく影響します。遮熱塗料を屋根、外壁に塗ることで、太陽の光や熱を反射し、室内の温度上昇を抑制します。遮熱塗料は、太陽光の中でも近赤外線と呼ばれる生物が暖かさを感じる光を反射する機能を持っています。この太陽光から発せられる近赤外線を反射することによって、屋根や外壁に熱がこもるのを防ぎます。また、室内の温度管理に役立つことから、冷暖房の効果を上げる作用があり、省エネにも役立ちます。断熱塗料を使うことにより得られる共通の効果は、主に以下の4つです。


  • 耐用年数やグレードによって性能にばらつきがある
  • 遮熱効果が低い
  • 断熱効果がない
  • 塗り直しが必要である
  • 塗料として扱いにくい
  • 塗膜が汚れると効果が落ちる


1耐用年数やグレードによって性能にばらつきがある


遮熱塗料は素材によって以下のように様々な種類があります。


  • アクリル系…6年
  • ウレタン系…8年~10年
  • シリコン系…10年~15年
  • フッ素系…15年~20年以上


もちろん、耐用年数が短い塗料の方が性能は低く、短い期間で塗り直しを行う必要があります。このように遮熱塗料と言っても、性能を感じやすいものから感じにくいものまで様々です。


2遮熱効果が低い


遮熱塗料は輻射熱の反射率が60~80%前後といわれており、単体では遮熱効果が低い傾向があります。


3断熱効果がない


遮熱塗料は輻射熱を反射される塗料であり、熱伝導を抑える働きを持つ断熱効果はありません。


遮熱塗料は「屋外からの熱の侵入を抑える」働きがあるのに対し、断熱材は熱そのものが伝導するのを遅らせる働きを持っています。


4塗り直しが必要である


遮熱塗料は、通常の塗料と比較して遮熱という機能性が付加されているためコストがかかります。また、遮熱塗装を行う際には、塗料費用だけでなく足場の組み立て、解体費用、下地補修費用、下地費用など諸経費がプラスされます。そのため、コストがさらに上がる傾向があります。さらに遮熱塗料のなかには耐用年数が6~8年と短いものも多く、遮熱効果を維持するには何度も塗りなおしを行う必要があります。


5塗料として扱いにくい


遮熱塗料は塗装職人の中では、よく「塗りにくい塗料」ということを聞きます。塗料は均一にムラなく塗ることで効果を最大限発揮するため、職人によって塗りムラの差が出る塗料では効果を最大限発揮できない可能性があります。そのため、遮熱塗料の施工をする場合には、専門の知識や技術力の高い職人が在籍している業者を探す必要があります。塗料は塗膜の表面が綺麗であればあるほど効果を発揮します。そのため、雨風などに頻繁にさらされてしまうと徐々に汚れたりするなどで効果が落ちる可能性もあります。





















アーカイブ

人気記事